友だちいないと不安だ症候群につける薬

友だちいないと不安だ症候群につける薬

友だちいないと不安だ症候群につける薬

人間関係といじめ・差別問題が同時に扱われていたので思わず購入。

「友だち力」とか、そういうのはちょっと教条的で優等生イズムですが、それを差し引いてもなお、素晴らしい内容があります。

とりあえず以下の引用文を見て欲しい。

まずは、寛容ということについて

自分と違う個性に対する許容範囲の狭さ

昔だったら、気持ち悪いと思っても、その当人に向かって「気持ち悪い」と言うことは、あり得ないことでした。消えてくれと思っても、もちろん「消えてくれ」とは言えません。

…(略)…

昔ならばこらえていたものが今は表にストレートに出てしまっている。それに関しては反省しなくていい、みんなが使っているのだから、と思ってしまっているのです。

斎藤孝, 友だちいないと不安だ症候群につける薬, 第4章『授業・いじめと「友だち力」』, PP.165-166

続いて、理性と感性について

生理的嫌悪感を理性でおさえる

私は、「ムカツク」という言葉の定義として、瞬間的にわき上がるやり場のない生理的嫌悪感、と定義しました。このような瞬間的な生理的嫌悪感というものが、今の時代はむしろ肯定されてしまっているのです

現代は「感性の時代」と言われていますから、「生理的な感覚だから仕方がない」と堂々という人が多いようです。私はそれは悲惨なことだと思います。感性がいけないということではないけれど、好き嫌いですべて決めていいんだということにはなりません。自分の感性的な嫌悪感で相手を嫌ってはマズイ。「理性」を働かせるのが大人の対応です。

自分は髪が長いのが生理的にダメだとしても、それを表に出すと、それは自分の人間性の未熟さを露呈することになるわけです。自分の好き嫌いで相手を判断してしまうことは恥ずかしいことでもあります。

でも今の時代は、「好き嫌いことが最大の基準」、ましてやそれが生理的な嫌悪感となれば、これ以上強力なものはない。何はばかることなく「生理的に嫌い」で終わってしまいます。

これが、女同士、男同士、女と男の関係、あらゆる人間関係で、生理的嫌悪感にもとづく闘いに発展してしまいかねません。

斎藤孝, 友だちいないと不安だ症候群につける薬, 第4章『授業・いじめと「友だち力」』, PP.167-168

最後に、想像力について

追体験プラス想像力が大事

…(略)…

人間に一番大切なことは「想像力」だと思います。自分がきつくいじめられたことがなくても、こういうビデオを見たり、悲しい映画を見たりすると、それが一つの体験になってしまう。それが「学習能力」というものではないでしょうか。

ですから、「自分はいじめられた体験がないからわからない」というように、体験がないからわからないというスタンスに入らないように。

もちろんこの授業も実体験なのですが、実体験だけを重んじると、自分が体験しないことは、どうせわからないというふうになって開きなおってしまうケースが多い。「僕、いじめにあったことないし、やったこともない」で終わってしまうのです。

こういう貧乏な人がいて、と言うと、「俺は貧乏じゃない」とか、そういう対応をすると話が続かない。これが想像力に欠けているということです。こうした開き直りの態度は、昔は恥ずかしいものとされていたのですが、今はノーマルに認められているようです。しかしぜひ想像力を働かせて欲しいと思います。

斎藤孝, 友だちいないと不安だ症候群につける薬, 第4章『授業・いじめと「友だち力」』, PP.188-189

以上のことをふまえて

★☆☆☆☆ 斎藤教、キター!, 2005/08/05

レビュアー:内藤寿

〜そんな友達なんか〜って本の焼き直し。

この本を肯定する人とは、まあ、僕は友達にはなりたくないね。*1

こんな本に頼って、友達なんかいらね〜とか言ってるやつは偽者じゃいw

自分が好きなことやってたら、友達がいなくたってなんとも思わない。

現状不満型、現状否定型の人間がこれを読んでワッショイワッショイ言っている。

確かにね、氏の本は読み〜〜やすいし、内容も薄くはない。

納得することもある。自分の人生と重なる部分もあるし。

だけど、氏の著書を賛美する人たちは、なんか危ない。

キモい*2人とか楽しく生きていない人に多い。

氏は自分の人生の暗の部分を修業期間とか充電期間と称して自己肯定する。

そして上記のような現状不満型の人たちは氏の本を読んで自己肯定化する。

これっ〜〜て宗教じゃないの?〜

内藤寿, 斎藤孝『友だちいないと不安だ症候群につける薬』, Amazonカスタマーレビュー

ああ、俺何も書くことないよ。すげえよこのクオリティ。なにこの「釣り」っぷり…。

*1:強調は引用者(益田ラヂヲ)によるものです

*2:強調は引用者(益田ラヂヲ)によるものです