「肝素承知」の主観至上主義

こんな非モテの俺だけど、仕事はなぜか「10代の女の子向け恋愛コンテンツ」を担当していたりするのです。
それでユーザが盛り上がるのなら、超神田のおねえさん的な放言だろうが、シロクマセンセが如き説教だろうが何だってするのが昼間の俺なのです。

それを真に受ける10代の女の子を量産して、結果的に自分の首を締めているのが何とも皮肉ではありますが、この非モテに踊らされる10代の女の子にとっても皮肉だろうよ、というわけで。これぞまさに自爆テロ。

で、コミュニティが盛り上がる企画の一つに「写メコン」というのがあるのですが、これは読んで字のごとく「写メール・コンテスト」でして、まあその、美男美女っぷりというか、「私ってすごいのよ」「俺ってすごいんだぜ」を競って頂く内容となっております。

普通、自分の写真を、どことも知れぬ怪しげなサイトの企画にポンと投げ渡すなんて、ちょっと躊躇してしまいそうなものですが、これも若さゆえのほとばしりか何なのか、これは前にコミュニティ系の仕事をしていたときも感じたことなんですが、みなさんとことん「ゆるい」んですね。
もう、セキュリティ意識なんて皆無。だからガンガン「悪用」*1されちゃって、いろんなところにその画像を転載されたり晒されたりするわけですが、それはまた別の問題。

その「写メコン」に応募してもらう際には、アピール文というか、見てるみんな(つまり、コンテストに投票する人ですね)へのメッセージを付けて送ってもらうわけですが、ここでやたらと目立つフレーズが、「キモい」なんですね。

「キモいの承知」とか、「キモくてごめん」とか、そういうのを、当て字やギャル文字なんかで書き連ねて、送ってきはる、と。

これはもう、シロクマセンセのような専門家でなくとも、この俺ですら分かるくらいに分かりやすい「防衛機制」なわけですよ。
リアルな思春期真っ盛りの10代の男女*2なんだから、こういう反応は当たり前といえばそうなんですが、なんでまあそこまで「キモい」ことをアピールするのかというくらいに、みなさん口をそろえて、自らがいかにキモいかを述べ、そしてそのことに対して大層申し訳ないと丁寧に謝って下さいます。

つまるところ、テスト直前の「ぜんぜん勉強やってない発言」や長距離走直前の「いっしょにゴールしようね発言」と一緒で、ほとんどそんなことは思ってないわけですが、要するに、他人の「キモさ」に対して相当敏感になっているからこそ、「自分がキモいと思われる可能性」を気にして、先手を打って「自分は全部分かった上でやっている」と主張するんでしょうね。

でも、同時にそれは「自分がそうだと思っていれば、何だろうがその意思について他人にとやかく言われる筋合いはない」と頑なに考えている、ということでもあるわけですから、だからこそ、「キモいものはキモいんだから仕方ない」と、サラリと言えたりするわけです。

そりゃあもう、彼女らはちょっとでも容姿の劣る者には本当に容赦がないですよ。それどころか、少し写真写りが悪いだけで、本当は多分それほど容姿が悪いわけではないだろうな、という人に対してすら、「私がキモいと思うんだからキモいんだ」と譲るところは全くないくらいですから。

とにかく、自分の主観だけが絶対なんですね。だから、「キモい」という言葉自体がもつ破壊力には、実のところそれほど頓着しているわけではなくて、本当に軽い気持ちでポンポンと「キモいキモい」と言ってしまえる、と。

だから結局、彼女らから「キモい」と言われたときには*3、「キモいですが何か?」と返すしかないわけです。それが彼女らの挨拶みたいなものですから…。

オタクの会話と一緒で、何というか、そういう「定型」が決まっているわけです。

いやホント、オナニーしたいのを我慢してこんな文章書いている俺はキモいですね。でも、分かってやってるから!

*1:どっかの出会い系に転載したりすることを「悪用」と呼び習わしています。だから、「悪用禁止」なんて真ん中にデカデカと "文字入れ" してたりする写真で応募してきたりする人もたくさんいらっしゃいます。せっかくの写真が台無しですよ…

*2:ちなみに、俺たちは終わらない思春期を生きるおっさん非モテです

*3:そうそう、本人たちは、我々非モテが考えるほど、本気で罵っているわけではないんですね。まあ、バカにはしていますが…