魔法のバス

魔法のバスがやって来る。君を迎えにやって来る。

もう学校に遅れることもないんだ。魔法のバスが連れてってくれる。

もう、何もしなくていいんだ。

君にだけ、特別仕立の魔法のバスが迎えに来てくれる。

ほかの人には内緒だよ。君だけは特別特例幸運なんだ。

労働、さよなら。

努力、さよなら。

義務、さよなら。

責任、さよなら。

そして、現実、さよなら。

ほら、魔法のバスはもうすぐそこまで来てるよ。

ようこそ、お金。

ようこそ、名誉。

ようこそ、権力。

ようこそ、女体。

そして、現実、さよなら。

魔法のバスの燃料は、人の不幸の抽出物なんだ。

だから、君はたくさんの人を不幸にしよう。そうすれば、魔法のバスはどこまでも走っていくよ。

魔法のバスがエンジンふかせば、君にとっての全てがかなう。

さあ、手を止めて、人の不幸を願おう。乗車券はもう君の手にある。

そう願うだけでいい。それだけで、魔法のバスは、君を迎えにやって来る。

もし来なければ、それは君のせいじゃない。ほかの人が悪いんだ。みんなが不幸にならないから、君のとこには来ないんだ。

さあ願おう。みんな不幸になるんだ。でも、君だけはちがう。魔法のバスがやって来るからね。

ほら、見えるかい?

魔法のバスがすぐそこに…。