『電波男』を堪能。

rAdio2005-03-18

散々読んだ。素晴らしい。名著だメイチョ!

400ページというその分厚さがよく話題にされていますが、むしろそれは関西のオタクにはなじみやすい内容だと思います。

というのも、この本からは「サイキック臭」が発せられているからです。

何のことかと言いますと、関西には「サイキック青年団」というラジオ番組*1がありまして、毎週毎週、オタク的観点に基づく下世話な話を延々たれ流しておるわけです。で、この番組関連のさまざまな書籍が、しろはた本田氏の「電波男」とほぼ同テイストだということなんですねこれが。

もちろん、サイキックは北野誠竹内義和の番組ですから、方や芸能界の中堅どころ、方や下世話な怪獣専門家…ではなくて、スマッシュヒットを飛ばす作家先生であり、非モテ関係については、それを許容する雰囲気を漂わせるに留まりっています。まあ、どちらかといえば、そういう非モテ人を生温かく導く兄貴的スタンスなわけですが、その関連本は、たいてい分厚く、そしてマニアックすぎるネタと、その注釈で埋め尽くされ、それを愛あるセルフツッコミをかまして長々と続くという体裁になっており、それはまさに「電波男」と同じ、というわけです。

というわけで、この「電波男」は全国の非モテ人の皆さんにオススメなのはもちろんですが、特に、関西の旧オタク系非モテ人(新世代のオタク系の人たちについてはよく知らないので何ともいえませんが…)に是非読んでもらいたい本です。

ああ、こんな本と十数年前の高校時代に出会っていれば…。

具体的な感想については、週末にでもまた書こうと思いますが*2竹熊健太郎氏の感想(というか心配か…)が非常に的を射たものだったので、そちらをご参照あれ。

本田透君が心配だ
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/03/post_13.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/03/post_14.html
このまま、本田君がグレイトな文章やシナリオを書き続け、ライターとして成功したとき……いや君の才能なら成功するだろうが、そのとき、必ずや「モテの魔」が音もなく忍び寄るだろうということだ。

ああ、コレダ

またしても、非モテのジレンマだ…。

弱者属性で有名になることによる強者への転換。「弱者を代表する」という行為そのものの矛盾。

でも、個人的感覚を優先するならば、もうそうなったら実状としてはモテに転換しても何ら問題はないのではないかと俺は思います。ただし、「自分がかつて非モテだった」ということは決してゆめゆめ忘れることなく、モテるようになったことで得た利益のいくらかは、非モテ文化圏へ還元することを心がければ、生き方としてはすんなりやっていけるでしょう。

ただし、思想信条としては、それでもまだ矛盾というか、もやもやというか、しっくりこないものは残りますが…。

*1:この番組の引き起こした「山本リンダサイボーグ事件」はあまりに有名。現在20代の関西オタクは、このサイキックと、「青春ラジメニア」で育ったといっても過言ではないでしょう
同年代の関東オタクが「のん子とのび太アニメスクランブル」と「林原めぐみのハートフルステーション」で育った(?)のとは大違いですな

*2:ただし、俺から発せられるこういう類の約束ごとは守られたためしがないことに注意